パート8は4日で戻ってくることになった

パート7を終え、結願まで残り約400kmとなったので「あと2回で結願できるかも」と考えていた。それで、2017年5月30日の夜行バスで松山に向かい、夜行5泊6日で行けるところまで歩いてこよう、できれば第66番雲辺寺まで終わらせたいというのがパート8の目標だった。今回のバスは前回歩き終えた道後温泉で下ろしてくれてラッキーだったし、料金は6900円という助かる値段だった。

 

5月31日の朝、道後温泉駅の足湯のところで持参したサンドイッチを食べ、白衣に着替えて歩き始める。第52番太山寺までは10kmぐらい、途中道を間違えて30分以上ロスして10時40分頃に着いた。そして、第53番円明寺に向かう。円明寺を出たのは12時半ぐらいかな。次の札所までは35kmぐらいあるので、行けるところまで行って寝ることにする。

 

天気はとても良くて海がきれいだった。海岸には石を組んだ桟橋みたいなものがいくつかあって、写真を撮ったりしながら歩く。天気予報は夕方から小雨ということで15時半ぐらいにはパラパラきた。でも雨はすぐに止み、あさなみ大師堂には17時前に着いたのでこちらに泊めていただくことにした。あさなみ大師堂は広くてきれいで、トイレがとてもきれいで最高の宿泊施設で、またいつか泊まりたくなるぐらいだった。あさなみ地域の皆さんに感謝。

 

特に体調が悪いということもないのだが、今回はあまり食欲がないと言うか、いつも食べているものをおいしいと感じられないのがちょっとヘンだった。まあでも何がどうってこともなく、あさなみ大師堂では一人で寝て、6月1日の朝は5時半に出発した。

 

遍路地図の62から63は1/50000なので、これを見開き横から横まで歩くには4時間以上かかる。菊間のあたりは瓦屋さんがいっぱいあって、「ぶじかえる」を一ついただいた。星の浦海浜公園は確かに交通量は多いけど、なかなか気持の良い場所で野宿スポットの候補になりそうだ。

 

第54番延命寺に着いたのは10時ぐらいで大谷霊園の中を通って第55番南光坊に着いたのが11時20分ぐらい。今治駅の横を通り第56番泰山寺に着き、途中で昼食を食べ、第57番栄福寺に着く。ここは素晴らしく良い風が吹いていて昼寝をしたい気分だったが、少しだけゆっくりして第58番仙遊寺へと向かう。仙遊寺は標高が281mなので、「横峰寺ではこの3倍近くだな」と考えつつ上り、15時ぐらいに着いた。後で思えばこのあたりで歩くのをやめれば良かったのだが、そんなことはまるで考えずに第59番国分寺へと向かった。

 

この日は道の駅今治湯の浦温泉でテントを張って寝ることにした。18時ぐらいには着いていたので、暗くなるまで待ってテントを張って横になった。最初は屋根はないけど静かな場所にテントを張っていたのだが、いきなりけっこう強い雨が降ってきたので、仕方なく2回移動して、屋根のある駐輪場の中で寝ることにした。この日は割と良く歩いて6万歩を超えた。

 

夜中にすぐ横に車中泊のクルマがきて、ラジオをかけている。クルマの窓を開けているのか、すごくうるさい。そして夜中から明け方もけっこう雨が降って、翌朝は出発が遅かった。

 

第60番横峰寺まではけっこうな距離があるし、標高も高い。雨が止むのを待っていた関係で6月2日はいつもより1時間は遅い7時半ぐらいに歩き始めた。今回はどうも味覚が少しおかしくて、コーヒーを飲んでもあまり美味しいと思えず、味の濃いものを美味しく感じていた。

 

モバイルバッテリーが少し心配なので、ファミマのイートインではよくiPhoneを充電させてもらった。今は13400mAhの物を一つ持って行っていて、これでiPhone6sを5回ぐらい充電できるし、行き帰りのバスの中でも充電はできるから、途中のどこかで一晩充電させてもらえばそれで間に合うのだが、もう一つ小さめのモバイルバッテリーを持った方が安心かも知れない。

 

横峰寺への急な上りが始まるところには東屋とトイレがあり、おいしい水も出ているという素晴らしい場所だったので「いつかきっとここに泊まろう」と思いつつ、ファミマのジャンバラヤを食べて横峰寺への参道約450m(標高)を上り始めた。この2.2kmは割と細かくあと何kmという表示があり、沢沿いのとても気持の良い道だった。

 

横峰寺を出たのは15時より前で、次の第61番香園寺までは9.3km「下りだから17時ぐらいに着くかな」などと考えたのが間違いだった。横峰寺から白滝奥の院までは上り下りを繰り返しながらの下りで、ここを少し急ぎ足で下ったことで左足の足首の上を傷めてしまった。奥の院は予想外に遠く、16時50分ぐらいに着き、東屋があったのでここでテントを張って寝るこにした。奥の院がこんなに良い場所だということがわかっていれば、ゆっくりと身体に負担をかけず楽しんで下ったのだが、欲張って17時までに次の香園寺に行こうなどと考えたのがいけなかった。

 

6月2日の歩行は48500歩ぐらいだったけど、750m登って700mぐらい下っているから、ちょっとハードだったかも知れない。

6月3日(土)の朝起きると左足首の上のあたりがかなり痛い。12月のパート6で傷めた右足とまったく同じ場所で今回は左足にきた。何となく体調もいつもと違うことだし、「これはやめた方が良い」と判断して朝の段階で東京に戻ることを決め、iPhoneで丸亀-東京の夜行バスを予約した。

 

この日はとにかく無理をしないで行けるところまで歩くことにして、第61番香園寺へ向かった。香園寺は市民センター風の大きな建物で中が素晴らしく広くて、納経するとよく響いた。四国霊場会から脱退した関係で第61番香園寺の駐車場に第62番宝寿寺の納経所が設けられていたので、ご朱印と墨書はこちらでいただき、でも一応宝寿寺に行って納経をした。宝寿寺の納経所には「御影は有料」と書いてあり「なにやら色々ありそうだな」という感じだった。足はかなり痛むので、ファミマでアイスコーヒーを買い、コーヒーは入れず氷を足に当てて冷やしながら歩いた。

 

天気は最高で、第63番吉祥寺、そして第64番前神寺へとゆっくり歩く。前神寺はすごく広くて立派な本堂だった。広くて立派だけど同時にとても清々しい雰囲気が印象的だった。今回の札所はこちらで終わり、予定ではこのあたりをガシガシ歩いて第65番三角寺、最終日には第66番雲辺寺まで行けるかななんて考えていたわけだが、とにかく一旦出直すことにしたから、夜行バスとの兼ね合いで予讃線の時刻表を調べつつ適当な駅まで歩いてパート8を終わることにした。西条市はおいしいわき水が出る地域で、ペットボトルに水を汲んでそれを飲みながら歩いた。

 

印象的だったのは、徳島まで180kmというような表示が出始めたことで、徳島から始めた遍路だから高知や松山まで何キロという表示はさんざん見てきたが、「そうか徳島まで180kmなのか」本当に終盤にさしかかっているんだなという気持になった。

パート8は、道後温泉から予讃線の中荻駅までを歩いて終わった。パート6とパート7では220kmぐらい歩いていたからちょっと予定外の結果だったけど、今回は何かがかみ合っていない感じがしたし足もかなり痛くなったので、無理はしないで戻ることにした。

 

東京に戻り、なんでこんな部位が痛くなるのだろうと考えた。今履いているローカットのトレランシューズではなく「もう少し深めの靴にしたらしっかりサポートしてくれて足を傷めずに済むのか」などと色々考えた。でも、多分問題は靴じゃなくて、調子に乗って6万歩も7万歩も歩く奴がいけないのだ。右足も左足も酷使されてギリギリの状態で、12月に傷めた右足をかばって歩いたら左足が炎症を起こしたということらしい。区切り打ちだから戻って炎症を治したりもできるけど、これが通し打ちだったら途方に暮れてしまうことだろう。

 

歩きの遍路は体力的にきびしいのも確かだが、それ以外にペースや日程の配分、足のマメや炎症などにどう対処するかという問題もあるのでやはり大変だと思う。

 

まあでも、下の地図のところまでは歩いたから。残りは多分250kmぐらいか、結願した後第一番の霊仙寺まで歩いたとしても300kmというところまできたから、足を治して年内の結願を目指そう。